1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:03:42.69 ID:hjt9H+WF0
たったらかきます


2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:03:59.02 ID:8Jxh6UvD0
たったぞ


4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:04:15.97 ID:tYrwYhke0
面白かったぞwwwwww

乙!



5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:05:06.38 ID:hjt9H+WF0
列車の窓から見える風景は、田畑や林から西洋と江戸の混ざったような建物の並ぶ風景となっていた。
栃木の農家で五人兄妹の末っ子として生まれた、まだ14の美矢子には、すべてが新鮮に感じられる。
初めての列車、初めての遠出、初めて見る欧風の建物、初めての東京。
美矢子は着物の胸元からメモを取り出した。
出稼ぎに来ている父との待ち合わせ場所が書かれている。
その父が、どういう訳か洋食屋を開くとか開かないとかで、美矢子を手伝いに東京へ呼んだのだ。
(何で洋食屋なんか開けるんだろう・・・)
美矢子はメモを見て心の中でつぶやいた。



7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:06:31.27 ID:hjt9H+WF0
実家の暮らしが厳しいものであるのは、美矢子も分かっていた。
長男と次男は海軍に入隊し、三男と長女は実家で畑を守っている。
長男と次男の仕送りを足して、やっと生活が成立っているようなものなのだ。
とても洋食屋を開けるほどの余裕があるとは思えない。
父は20代の頃、料亭で働いていたことがあるらしいが、その縁かなんかだろうか?
美矢子の頭の中をぐるぐると、いろいろな事が巡った。



8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:08:29.60 ID:hjt9H+WF0
しかし、彼女の目の前には、帝都、東京の街。
どうしてもこっちも気になってしまう。
列車の走る高架の脇に黒い自動車が現れた。
美矢子はそれを凝視する。
「あれが自動車かぁ~」
思わず声が出た。
正面に座る老婆に笑われる。
美矢子は咄嗟に窓に張り付くようにして外を見ていた体勢を直し、姿勢正しく、背筋を伸ばして座りなおす。
そっと老婆の方に視線をやると、老婆の顔はまだ笑っていた。
一瞬目が合って、恥ずかしくなってしまい、下を向いて顔を赤くした。



9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:10:13.58 ID:6wQj7gOk0
世界観が凄い


10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:10:13.77 ID:hjt9H+WF0
少しの間をおいて、老婆が話しかけてきた。
「お嬢ちゃん、東京は初めてかい?」
一瞬、美矢子はピクリとした。
「あっ、初めてです!」
「そうかい」
老婆は微笑みながら頷いた。
「しかしお嬢ちゃん、可愛い着物着てるわね」
「本当ですか!?ありがとうございます!
 これ、母が東京に行くからと、一番のものをくれたんです!」
美矢子は袖口を手で握りながら腕を前に伸ばし、袖に描かれている桜花を見ながら嬉しそうに言った。



11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:11:35.33 ID:mPByMrv40
明治文学っぽい


12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:12:17.82 ID:jFUPwSLV0
乙!中々良かったよ!


13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:12:47.17 ID:hjt9H+WF0
「じゃあ、一人で東京に出てきたのかい?大変だねぇ」
大変も何も、いきなり呼び出されたことが一番大変だ。
昨日手紙が来て、母に行くように言われて、バタバタだったのだ。
「あ・・・いえ。父が上野駅で待ってるそうなので大丈夫ですよ」
「じゃあ安心だね。もう上野に着くから、身支度しなさいね」
「はいっ!」
やさしい老婆に、美矢子は元気に返事をした。


高校の授業で書いたやつだから、原稿用紙6枚分くらいしかないですww




14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:14:48.87 ID:1G257u490
読むの疲れたから
要約して



15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:15:00.88 ID:hjt9H+WF0
列車を降りた美矢子は、なす術もなく人の波に呑まれた。
町のなかもこんな人ごみなのかと不安になる。
田舎で育った美矢子に、こんな経験は無い。
新鮮というよりかは、恐怖に近い感覚を感じていた。
何とか改札を抜けると、人がばけたせいか、視界が広くなった。
さて、父を探そうとメモを取り出そうと鞄を置こうとすると、美矢子の背後から聞き覚えのある声がした。
「美矢子か?」



16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:16:17.00 ID:uJ8caTsG0
東京は帝都って形容するか?


17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:19:23.72 ID:hjt9H+WF0
振り返ると彼女の目の前には見覚えのある人がいた。
農作業の時とはちがい、絣の着物を着ている。
「お父さん・・・」
苦しい家庭の現実があるのに、父はなぜか洋食屋を開くという、不透明な事案が美矢子の中にあるため、
あまり再開を素直に喜べなかった。
「すこし大きくなったんじゃないか」
「一寸ほど、お父さんが東京に行ってから伸びました」
父はごつごつした手のひらを美矢子の頭頂部に乗せながら、成長を確かめている。
しかし、美矢子はあまりいい気分ではない。


時代考証適当だから大目に見て><



18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:21:24.77 ID:hjt9H+WF0
体の弱い母を家に残し、嫁入り前の姉に畑を耕させ、東京で勝手に洋食屋を開く父に違和感を感じた。
以前はまじめに畑仕事をし、筋の通っていないことはしない人であった。
そんな父が、今回のようなことをするのを信じられなかったのだ。
美矢子は、父が別人になってしまったのかとも思った。
でも、きっと何か理由があるのかもしれない。
初めての東京に続き、初めての感覚であった。



19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:24:17.82 ID:hjt9H+WF0
店がある場所までは徒歩で20分ほどかかる。
その間、会話らしい会話はほとんど無かった。
美矢子は店についてから話を切り出すつもりだった。
最悪、外で口論になるのは避けたかったのだ。
小さな路地に入っていくと、駅での混雑が嘘のように静で、生活感の漂う場所になっていた。
そんなところにひっそりと建つ汚い家屋がある。
「ここだ」
「えっ、これが店ですか?」
「正確にはまだ店じゃねえ。これから準備すんだ。安いとこ探したらここしかなくてな・・・」
父はそう言いながら、建物の入り口をガタガタと横に開けた。



20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:25:28.86 ID:hjt9H+WF0
中は美矢子が思っていたよりも広く、すでに4人用ほどのテーブルが3つと、厨房があった。
しかし調理器具の汚れはひどく、とても料理ができる状態ではない。
父が明かりをつけると、更に状況がよく分かった。
テーブルや椅子はたくさん埃をかぶり、壁にはたくさんにシミが着いている。
「今はこんな状態だ。とりあえず居間と便所と風呂、二階の一部屋は片付けた。お前は二階の部屋を寝床にしろ」
「・・・はい」(手伝いって、掃除なのかしら?)
美矢子はすべてを聞き出そうと決めた。
床の抜けそうな階段を上り、見るからに一番綺麗な部屋に入る。
窓から差す陽はかなり西に傾き、隣の家の屋根に隠れかかっていた。
ざっと部屋を見渡し、鞄を置いて居間へと降りた。



21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:27:07.40 ID:hjt9H+WF0
居間に下りると、父は煙草をふかしていた。
「もう風呂は入れる。少し冷めちまっただろうが、大丈夫だろ」
美矢子は一回、聞こえないほどの深呼吸をして、正座した。
「あの、お父さん?」
「なんだ?」
「その・・・なんでいきなり洋食屋を開くことになったんですか?」



23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:30:18.44 ID:hjt9H+WF0
ゆっくり煙草を吸い、父は口を開いた。
「今のご時世はな、畑耕してるだけじゃ食っていくのは難しいんだよ」
地方の農家はどこも厳しいというのは、前、姉が言っていた気がする。
「でも、うちに店出せるほどのお金は・・・」
「余裕なんかねぇよ。有り金はたいてこのボロ屋買ったんだ」
少し間が開く
「その事・・・お母さんには言ったんですか?」
「まだ言ってねぇ。こんな賭けみたいなこと、京子が許す訳が無いからな。言う前に建物を買った」
「いくらだったんですか・・・?」
「子供は家計に首突っ込むな!!」
数秒の沈黙
「でもな美矢子。もう農家以外で食ってくには、俺には料理しかねぇんだよ・・・。
 悪く思わないでくれ・・・。京子にはちゃんと話すか
「はい」


黒歴史晒してるだけだから、おかしいとこ捜しでもしながら笑ってくれればけっこうですw



24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:32:11.30 ID:hjt9H+WF0
美矢子はゆっくり立ち上がる。
「あの、先にお風呂どうぞ」
「ん・・・、俺は後でいい。今日は疲れただろ?、先に行け」
「じゃあ、先に行きますね」
「飯は後でこのちゃぶ台の上に置いとくからな」
「はい」
居間を出て、階段を慎重に上るり、部屋に入る。
畳の上で寝転がり、大の字になる。
ほっとため息。
父の考えていることが分かり、違和感は消えた。
後は父が母に話すのを待つだけだ。
(ひとまずは安心ね・・・)
なんだか気持ちがゆったりしてきて、美矢子はそっと目を閉じた。



25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:32:23.08 ID:13KyIN/60
なんか教科書に載ってそうな話


26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:33:38.80 ID:hjt9H+WF0
美矢子を呼ぶ声がかすかに聞こえる。
直接でなく、間に何かを挟んで聞こえる。
美矢子はそれに気づき、少し目を開ける。
視界が暗い。
「美矢子!! まだ風呂行ってなかったのか!! 何してる!?」
「えっ・・・えぇっ!?」
美矢子は跳ねるように起き上がる。
部屋も窓の向こうも闇になっている事に気が付いた。



27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:34:50.28 ID:kFORbF9S0
作家さんですか?
29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:37:43.96 ID:hjt9H+WF0
>>27
作家でもライターでもないよ^^



28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:35:24.29 ID:hjt9H+WF0
「ごめんなさい! 今から行きます! あ~寝ちゃったよ~!!」
浴衣と手ぬぐいを拾い上げ、ふすまをはじき飛ばすように開け、部屋の外に出る。
しかし、目の前にいた父に衝突した。
「おわっ!?」
後方に倒れる美矢子。
「危ねぇだろ! 第一、女が家の中ドタドタ走るんじゃねえ!」
「はいっ!ごめんなさい!」
すぐに立ち上がり、今度はゆっくり歩く。



29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:37:43.96 ID:hjt9H+WF0
やはり時間がたってしまっていたせいか、浴槽のお湯は冷たかった。
美矢子は浸かっていると風邪をひくと思い、すぐに風呂を済ませた。
廊下に出て、居間の方に歩く。
その時、廊下の左にある店への入り口が目に留まる。
(今から、どんな生活が始まるのかなぁ・・・・?)
期待で心がいっぱいである。



30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:39:06.31 ID:hjt9H+WF0
居間に入ると、ちゃぶ台の上に握り飯が二つ、皿の上に収まっていた。
その横で父が寝転んでる。
ちゃぶ台の前で正座し、合掌する。
「いただきます」
その時、ちゃぶ台の横の父が寝息を立てているのに気が付いた。
(誰も見てないし、ちょっとくらいなら大丈夫よね。)
ふだん食事をするときは、正座してないと起こられるが、今回は誰も見てる人はいない。
正座していた脚を崩し、胡坐に組みなおした。
でも、一人の食事は、なんだか少し寂しかった。



31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:40:12.21 ID:Gim4fbE70
アイマスss()とかよりは大分格が上だな



32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:43:44.63 ID:hjt9H+WF0
食事を終え、そのまま自室に直行した。
たたんで部屋の隅に置いてある布団を広げて、そのままそこに倒れる。
「ふう」
一息。
暗い部屋で一人、美矢子の中に色々な事が巡った。
(そういえば、私、いつまで東京にいるのかな?)
(いつかお母さん達も来るかな?)
(畑はどうするのかな?)
(お兄ちゃんたち、横須賀にいるんだっけ?)
(横須賀ってここから近いのかな?)
(まぁ、明日考えよう)
美矢子の意識は深く落ちていった。

大正九年 秋の暮のとある日
とある少女の新しい毎日が始まったのでした。


一応これで終わってる。
続き書いたけど、授業時間足りなくなって放棄した
戦争ものかいてたら教師にストップくらって結局急いで仕上げた奴だから
クオリティは勘弁してくだしゃ




34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:45:14.96 ID:hjt9H+WF0
しょーもないクソスレでしたが、見てくれてた人たちありがとう^^


36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:47:13.32 ID:kFORbF9S0
続き読みたくなった、乙
41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:49:51.22 ID:hjt9H+WF0
>>36
続きは、食器発注しといた店の店主の弟子と
兄の同僚の水平と美矢子の三角関係になる予定のつもりだった・・・



33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:44:55.64 ID:OEFiBa5D0
何か探したら俺も夏休みの課題で書いたのでてきたんだけど>>1の終わったら晒していい?


35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:45:53.91 ID:hjt9H+WF0
以下>>33のスレでオナシャスw


37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:47:38.11 ID:OEFiBa5D0
うーっす
高校1年生のときのやつな
ちなみに俺はもう成人してる



38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:48:22.84 ID:OEFiBa5D0
『完全犯罪を行います』
 昼過ぎにインターネットのとある掲示板で、こんな書き込みを見つけた。後にはこう続いている。
『明日、s市の学生を一人、抹殺します。絶対に失敗はしないし、捕まりもしません』
 ちなみに、この書き込みは昨日のものだ。
すぐ後には、この書き込みを悪質だと判断し、警察に通報するというような旨の管理者からの書き込みがあった。
 よくあるいたずらの類か何かなのだろうけれども、ひとつ気になるのがs市というのが今僕がいるこの町なのだということだ。
この書き込みをした人物は、この町のどこかにいるのだろうか――
何となく、すぐ脇にある窓に目を遣った。この辺りはマンションや駐車場の並ぶ静かな住宅街だ。
耳に聞こえるのはその辺の野鳥の鳴き声や、はるか遠くを走る救急車のサイレンくらいだった。



42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:50:11.46 ID:OEFiBa5D0
 そんな静寂を切り裂いて、唐突に電話が鳴った。
一瞬椅子から立ちあがって出ようと身構えたが、どうせ勧誘か何かだろう、そう思ってまた座りなおした。
 が、これが中々鳴り止まない。
 静かな中に電話の呼び出し音が延々と鳴っていると、大抵の人間は気が滅入ってしまうだろう。
僕だってそうだ。僕はしぶしぶ立ち上がって、電話に応じることにした。
「もしもし」耳に当てた受話器は、すでに通信が切れていた。
 元からいたずら電話だったのか、それともこちらが出るのを待ちきれずに切ってしまったのだろうか?
どちらでもいいか。
椅子に戻って、さっきの書き込みに関するものが何かないか探した。
別段興味を惹かれたわけではなかったが、他にやることもなかったからだ。
 探しているうちに、丁度ついさっき書き込まれた文章に目が留まった。
『昨日予告をした者です。では、始めたいと思います。』
逮捕されかねないというのに、まだ続けるつもりらしい。



43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:51:33.56 ID:OEFiBa5D0
 書き込みはまだあった。
 次の書き込みに文書はなく、動画のみが掲載されていた。
見ると、どうもどこかの駐車場をカメラで撮った映像らしい。
映像は昼間のもので、時折撮影者のはぁはぁという息遣いや野鳥の鳴き声が聞こえる。
手持ちカメラで撮影したのだろうか、ぶれの多い映像は、しばらくは同じ光景――どこにでもあるような何でもない車列を映していた。
 全く代わり映えのしない光景に見るのをやめようかと思いはじめた時、不意にカメラが大きく右上に動いて、一軒のマンションを映した。
どこか見覚えのある建物のような気がするのは気のせいだろうか。
カメラはズームインして、一つの部屋を大写しにした。
 もはや疑いようもなくそれはこのマンションで、今映っているのは僕の部屋だった。
「ターゲットはこの部屋に住んでいる学生です。では、始めます」
 野太い男の声がした。遠くにかすかに、救急車のサイレンも聞こえた。



48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:54:48.58 ID:OEFiBa5D0
 僕はとっさに窓の外を見た。駐車場にはすでに誰もいなかったが、ついさっき画面に映っていた、車の列がそこにあった。
鼓動が早まるのを感じる――落ち着け。
ひとまずカーテンを閉め、椅子に深く腰掛けた。
息を整えると、次々と思考が溢れ出てきた。
――なぜ僕が狙われるんだ?一体僕が何をしたっていうんだ。
 ついさっき見た文章が脳裏に浮かんだ。
『抹殺します。』白い背景に、黒い文字が無機的に浮かび上がる。
 だめだだめだ。何もせず座っていると余計なことを考えてしまう。
だいたい、ただのたちの悪いいたずらかもしれないのだ。
そうだ、新しい書き込みはないだろうか?
今頃掲示板には、一文『冗談でした』と書きこまれているかもしれない。
 書き込みは3件あった。いずれも携帯電話から書き込まれたものだった。
『今マンションに入りました』
『ターゲットの部屋のある階に向かっています』
『僕がこれからやることは完全犯罪です。
僕は絶対に捕まらないし、確実にやり遂げます』



49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:56:04.77 ID:OEFiBa5D0
 どうもいたずら、というわけではないらしかった。
 まず確実に、得体の知れない男がこの部屋に近づいてきている。
鼓動が限界近くまで早まっているのがわかった。
どうにかしなくちゃ。でも一体どうすれば?頭の中がぐちゃぐちゃだ。――僕はキーボードを叩いた。
『あなたのやっていることは犯罪です。ただちにやめるべきです』
 数秒待った。画面を更新するが、男の書き込みはない。
辺りは未だ静かだし、閉めたカーテンは裏からの光で薄く透き通って見える。
何てことない休日の昼下がりだった。それが、どうしてこんなことになっているんだ?
 部屋の外から二、三度靴音が聞こえた。
 それがこの部屋へ向かう男のものなのか、それとも全く別の場所を往く他人の足音なのか、僕にはわからない。
何時間とも思えるような時間を、ただ硬直した様に椅子に座って待っていた。
ふと思い出して画面を更新すると、男からの書き込みがあった。
『お前はもうおわりだ』
 部屋のドアを叩く音がした。



51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:56:44.46 ID:hjt9H+WF0
こええw


52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:57:14.90 ID:OEFiBa5D0
 そのときただ僕は椅子に座って、呆けたようにドアの方を見ていた。
またドアを叩く音がした。それと、ドア越しでくぐもった男の声が聞こえた。
「開けてくださーい。開けてくださーい。いないんですかー?」
 それを聞いて、僕の頭は少しずつ冷静さを取り戻し始めた。
そうだ、ドアには鍵がかかっているじゃないか。みたびドアを叩く音がした。
それから少し間を置いて、鍵が小気味良い音を立てて回った。
「なんだ、いるじゃないですか」
 入ってきた二人組の男のうちの一人が言った。
彼らが部屋の中に入ってくるのを、僕はずっと椅子に座ってみていた。僕の前に来た男は、一枚を僕に見せた。
『完全犯罪をします』
『明日、s市の学生を一人、抹殺します
絶対に失敗はしないし、捕まりもしません』
「警察です」
「昨日この書き込みをしたのはあなたですね。掲示板の管理者から通報がありました」



53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:58:28.43 ID:OEFiBa5D0
 何を言っているのかよくわからない。
 僕がそういうと、男は少し語気を強めてこう言った。
「確かにおたくのコンピューターから書き込まれています」
「違う……僕はこんなことは書き込んだ覚えはない……誰か、別の誰かが、僕をはめたんだ」
「なるほど。では、あなたは何かそれを証明できるのものを持っていますか?」
「いや……でも……僕は……」
 また文字が脳裏に浮かんだ。
『絶対に失敗はしないし、捕まりもしません』
『僕がこれからやることは完全犯罪です』
 何も言えなくなった僕に、警官はこう言い放った。
「わかりました。とりあえず一度、署まで来てください」
 会話が終わるまで30秒もかからなかった。



55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 22:00:15.23 ID:OEFiBa5D0
 その後一人の警官に腕をつかまれ立たされ、そのまま半ば引きずられような形で部屋の外まで歩かされた。
放心の中、廊下の先、エレベーターに男が一人立っているのを見とめた。
 こちらに向かってカメラを向けて、笑っている。途端に意識がはっきりした。
「待て!」肩を掴む腕を振り払い、男に向かって駆け出す。
「あっこら……痛っ……」
 思い切り振った腕が何かにあたった気がする。
が、今はそれどころではない。エレベーターのドアが閉じはじめている。
背後から怒鳴り声が聞こえた。「捕まえろ!」違う。捕まえるべきはあの男だ。
エレベーターの目の前まで来たとき、後ろからのしかかられ、地面に組み伏せられた。
なんとか抜け出そうともがくが、警官はびくともしない。
「違う!あいつだ!あいつを捕まえろ!ほらっ放せってこらっ……」
何てことない昼下がりの静寂に、僕の声だけが響いていた。



当時世にも奇妙な物語が好きでした




44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:52:50.86 ID:JU/8aqgfP
http://www5.pf-x.net/~wannabees/cgi-bin/upload/upload.html
にでもあげたら?
48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:54:48.58 ID:OEFiBa5D0
>>44
こんな恥ずかしいものをろだになんかに長く残せと申すか




39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:48:37.58 ID:JU/8aqgfP
自分ではどう評価してるの?
45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:53:03.68 ID:hjt9H+WF0
>>39
中途半端にかっこつけようとして失敗してるわなww

47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:54:46.30 ID:JU/8aqgfP
>>45
そうか……何点くらいだと思うの?
54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 21:59:46.93 ID:hjt9H+WF0
>>47
おいそれは恥ずかしいだろ

56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 22:00:44.74 ID:JU/8aqgfP
>>54
高一の頃に書いたもの晒すよりは恥ずかしくないんじゃないの?
59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 22:03:25.59 ID:hjt9H+WF0
>>56
確かにそうだなw
30点いかないだろw
58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 22:02:38.97 ID:OEFiBa5D0
年とると昔の黒歴史って案外恥ずかしくなくなるもんだよ
61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/03/15(金) 22:04:35.24 ID:hjt9H+WF0
>>47
俺はつい二年前の話だwww



引用元 http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1363349022/

ねらわれた星 (星新一ショートショートセレクション 1)
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